「男のくせに育休なんて…」
どこかでそんな声が聞こえてきそうで、育休取得に二の足を踏んでしまう男性は少なくないはずです。キャリアへの影響、同僚への負担、そして何より「父親なんだから仕事が一番!」という社会の無言の圧力。私もそうでした。妻の妊娠が分かって嬉しかった反面、「育休? 俺が?」という戸惑いが大きかったのを覚えています。
でも、考えてみてください。育休は、かけがえのない我が子の成長を間近で見守り、パートナーを支えることができる貴重な時間です。そして、それは決して「迷惑」な行為ではありません。
この記事では、私自身が実践し、周りの理解を得ながら育休を取得できた5つの方法をご紹介します。これを読めば、あなたもきっと育休への不安を自信に変え、家族との大切な時間を手に入れることができるはずです。
育休希望は「匂わせ」が重要!日頃のコミュニケーションがカギ
育休を取りたいと考え始めたら、すぐに「育休取ります!」と宣言するのは、少々強引かもしれません。まるで、準備運動なしにいきなりフルマラソンを始めるようなものです。大切なのは、日頃から職場の人たちと良好なコミュニケーションを築き、育休を検討していることをそれとなく伝えておくこと。これが、周囲の理解を得るための第一歩です。
私の場合は、妻の妊娠が分かった頃から、職場で冗談交じりに「最近、家族が増える予定でして…しばらくは家族サービスに励むことになるかもしれません!」などと話していました。また、同僚が子育ての話をしている時には積極的に耳を傾け、「育児って本当に大変そうですね、でもその分喜びも大きいんでしょうね」といった共感を示すようにしていました。
まるで「育休取る取る詐欺」のように聞こえるかもしれませんが、これは周囲に「もしかしたら育休を取るかもしれない」という心構えをしてもらうための、一種の予防線を張る行為です。実際に育休の話を切り出した時、周囲は「ああ、やっぱり」と、比較的スムーズに受け入れてくれたように感じています。
重要なのは、ネガティブな印象を与えないこと。「会社を休みたい」というニュアンスではなく、「家族のために時間を大切にしたい」というポジティブな動機を伝えるように心がけましょう。
育休中の「ブラックボックス化」を防ぐ!仕事の見える化で安心を
育休で職場を離れる際に、最も懸念されることの一つが「自分の仕事が滞ってしまうのではないか」ということではないでしょうか。特に、「この仕事は〇〇さんにしか分からない」といった属人化が進んでいる職場では、その不安はさらに大きくなります。
そこで重要になるのが、育休に入るまでに自分の担当業務をしっかりと「見える化」しておくことです。具体的には、業務の手順やノウハウをまとめたマニュアルを作成したり、日々の業務日誌を詳細に残したりするなどが挙げられます。
私も育休に入る数ヶ月前から、自分が担当している業務のマニュアル作成に力を入れました。普段から積極的に色々な仕事に携わっていたことが、この時に非常に役立ちました。業務の流れだけでなく、判断のポイントや過去の事例なども細かく記録するように心がけました。
完璧なマニュアルを作るのは大変ですが、「これさえあれば、私がいなくても何とかなる」と思えるレベルを目指しましょう。また、マニュアルを作成する過程で、業務の無駄や改善点が見つかることもあります。これは、育休明けの業務効率化にも繋がる、意外なメリットと言えるでしょう。
「情けは人の為ならず」 育休前の「貸し」作りで円滑なバトンタッチ
育休取得を成功させるための、ちょっとした裏技とも言えるのが、育休前に同僚や後輩に「貸し」を作っておくことです。これは、打算的に聞こえるかもしれませんが、良好な人間関係を築く上で非常に有効な手段です。
日頃から、同僚が困っている時に積極的に手を差し伸べたり、後輩の育成に力を入れたりすることで、いざ自分が育休を取得するとなった時に、周りの協力を得やすくなります。「あの時、〇〇さんが助けてくれたから、今度は私が〇〇さんの分まで頑張ります」といった連帯感が生まれるのです。
私も、以前から後輩の指導やサポートには力を入れてきました。忙しい時でも、後輩からの質問には丁寧に答え、困っている時には一緒に解決策を探すようにしていました。そのおかげで、私が育休に入る際、後輩たちは快く私の業務を引き受けてくれ、本当に助かりました。
ただし、これはあくまで日頃の行いの結果です。育休のためだけに急に親切にするのは逆効果になりかねません。普段から周りのことを気遣い、積極的に助け合う姿勢が大切です。
究極の解決策は「気にしない」 批判は受け流し、家族との時間を最優先に
どれだけ準備をしても、残念ながら育休取得に対して批判的な意見を言う人は必ずいます。「男が育休なんて甘い」「会社のことを考えていない」といった心ない言葉を耳にすることもあるかもしれません。
しかし、ここで立ち止まってはいけません。大切なのは、そういった雑音に惑わされず、自分がなぜ育休を取りたいのかという原点に立ち返ることです。
私の場合は、「子どもの成長を間近で見たい」「妻の負担を少しでも減らしたい」という強い思いがありました。もちろん、育休中は会社の同僚に負担をかけることになります。しかし、それは一時的なものです。一方で、子どもの成長は二度と戻ってきません。
それに、退職や転勤などで同僚とはいずれ別れる時が来るかもしれません。しかし、家族とは一生を共にするのです。どちらを優先すべきか、答えは明白ではないでしょうか。
批判的な意見は受け流し、家族との貴重な時間を大切にしてください。育休を取得するという決断は、あなたとあなたの家族にとって、きっとかけがえのない財産となるはずです。
「イクメン」アピールは最強の布石? 普段からの家族愛で理解を深める
育休取得をスムーズに進めるための、ちょっとしたテクニックとして、「普段から家族愛をアピールしておく」という方法があります。これは、周囲に「この人は家族を大切にしているんだな」という印象を与え、いざ育休の話が出た時に、「やっぱりね」と納得してもらいやすくする効果があります。
例えば、職場で家族の話を積極的にしたり、子どもの写真を見せたりするのも良いでしょう。また、SNSなどで子どもの成長や家族との楽しい時間を発信するのも有効です。
私も、妻の妊娠が分かってからは、職場で積極的に家族の話をするように心がけました。「週末は妻とベビー用品を見に行ったんですよ」「子どもの名前、何にしようか悩んでるんです」といった、他愛もない話ですが、そうすることで、周囲は私が父親になることを意識し始めます。
そして、いざ育休の話を切り出した時、「シュウさんなら、育休取りますよね」という、ある種の肯定的な空気を作ることができたと感じています。これは、育休取得へのハードルを下げる、意外と有効な手段と言えるでしょう。
結局は仕事への真摯な姿勢が育休への信頼に繋がる
ここまで様々な方法を紹介してきましたが、最も重要なことは、日々の仕事に真摯に向き合う姿勢です。普段から責任感を持って仕事に取り組み、周囲からの信頼を得ている人であれば、いざ育休を取得するとなった時にも、比較的スムーズに理解を得られるはずです。
逆に、普段から仕事をいい加減にしていたり、周りに迷惑ばかりかけているような人が、急に「育休を取ります」と言い出しても、周囲は納得しないでしょう。
育休は、決して権利の主張ではありません。それは、家族を大切にしたいという、人間として自然な感情の発露です。そして、その感情を周囲に理解してもらうためには、日頃からの信頼関係が不可欠なのです。
育休を取得するという決断は、あなたの人生における大きなターニングポイントとなるでしょう。この記事が、育休取得に悩む男性たちの背中を押し、より豊かな人生を送るための一助となれば幸いです。
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